熱破壊式脱毛と 蓄熱式脱毛の違い

照射方式とは、脱毛施術時の「レーザーの当て方」のことです。医療脱毛には熱破壊式と蓄熱式という２つの照射方式があります。

高い出力のレーザーを1発づつ肌に照射し、一気に発毛細胞を破壊します。主なターゲットは毛球内部にある毛乳頭です。

低い出力のレーザーを連続して肌に照射し、肌の内部に熱を蓄積して発毛細胞を破壊します。主なターゲットはバルジ領域にある毛包幹細胞です。

熱破壊式と蓄熱式、どちらも発毛細胞をしっかり破壊できる実績ある照射方法です。

総じてみた脱毛効果に大きな差はないと言われていますが、細かい部分でいくつか特徴的な違いがあります。

熱破壊式は産毛が苦手です。産毛はメラニンが少ないため、強いエネルギーを照射をしても多くを熱に変換できないからです。

蓄熱式は産毛にもしっかり効果を発揮します。肌の内部に熱を溜め込む方式なので、メラニンが少なくても熱を伝えられるのです。

太く濃い毛には熱破壊式が有利とされることも多いですが、実際大きな差はありません。

熱破壊式が効果的とされる理由は、太く濃い毛はメラニンが多く、高いエネルギーを効率よく熱に変換させることができるからです。

しかし、太く濃い毛は痛みが強く出やすいので、実際は出力を下げて照射せざるを得ません。

熱破壊式は出力を下げると効果が落ちます。蓄熱式は出力を下げても大きな影響はありません。そのため結局、効果に大きな差は出ないのです。

脱毛の痛みは照射の出力に比例します

高出力の熱破壊式は痛みが強い一方、低出力のレーザーを複数照射する蓄熱式は痛みが弱い傾向にあります。

また痛みを抑えるために出力を下げた場合、熱破壊式は効果が大きく落ちてしまいますが、蓄熱式は照射発数を増やすことで効果落とさず施術することができます。

高出力の熱破壊式は、皮膚表面に加わる熱も高いため、火傷のリスクが高くなります。特に日焼けなどでメラニンが多い肌は、エネルギーを吸収しやすいため注意が必要です。

皮膚の内部に熱を溜め込む蓄熱式は比較的肌表面の火傷リスクが低く、日焼けした肌でもしっかり照射が可能です。

どちらの方法でも、赤み・かゆみなどの肌トラブルのリスクがあります。

しかし肌表面に加わる熱が少ない蓄熱式の方が、比較的このようなリスクは低いと考えられます。

当院では特に、敏感肌・アトピー肌・日焼け肌などの方は蓄熱式脱毛をおすすめしています。

熱破壊式脱毛の主なターゲットは毛球内部にある毛乳頭です。毛乳頭に強い熱が加わった反応で、数日～2週間で毛が抜け落ちます。

蓄熱式脱毛の主なターゲットはバルジ領域にある毛包幹細胞です。毛包幹細胞に強い熱が加わった反応で、2週間程前でまばらに毛が抜けていきます。

どちらも照射を繰り返すことで、新たに生える毛が少なくなり、無くなっていきます。

照射ヘッドを皮膚に当てレーザーを照射することに変わりありませんが、施術に必要な技術は大きく異なります。

熱破壊式は、１箇所に１回しかレーザーを照射できません。少しづつ照射ヘッドを動かして照射面を埋めていきます。

照射口が重なれば火傷するリスクがあり、隙間（打ち漏れ）があれば毛が残ってしまいます。素早く、満遍なく照射するのは一定の技量が必要ですが、狭い面への照射はやりやすい方式です。

蓄熱式は、クルクルとヘッドを動かしながら徐々に皮膚内部に熱を溜め込みます。

こちらも手を止めたり回転円が小さかったりすると火傷のリスクがありますが、打ち漏れは比較的少ないと言えるでしょう。広い面に素早くもれなく照射するのに向いていますが、ピンポイントにここだけ照射したい、という場合は向きません。

ひとつの部位で「抜けやすい場所」と「抜けにくい場所」があった場合抜けにくい場所を重点的に照射するような調整が行えるというメリットもあります。しかしこれらの細かい調整をしながら照射をするにも、一定の技量が必要です。

当院では、部位によって熱破壊式と蓄熱式を切り替えて照射します。

背中などの広い部位は蓄熱式で素早く照射し、うなじや手足の指などの細かい部位は熱破壊式で精密に照射し、すべての部位で漏れのないキレイな仕上がりを目指します。